車の塗装の構造を把握しておこう

塗装の構造を知っておくと、傷の具合を見てスプレーで直せる程度かどうかを判断しやすくなります。車の傷をスプレーで直したいと思ったら、まずは傷の具合を確認しましょう。

車の塗装は、下から「サーフェサー」「ベース」「クリア」という３層構造になっています。

このうち、スプレーで修復可能なのは最も表面の「クリア層」のみとなり、それよりも深い傷はプロの手で直してもらうのが基本です。精査

周囲の塗装と若干でも「色合いが違う？」と感じたら、クリア層ではなくベース層が露出している可能性が高いです。

セルフで補修できる傷の深さ

「ごく浅い、または細かいすり傷」程度で、かつ「爪でなぞっても引っかからない」といった具合であれば、クリーナーワックス、コンパウンド、スプレーなどを使って修復することは可能です。

クリア層を超す傷はプロに相談

「塗装が剥がれている」「爪でなぞると引っかかる」「傷が深い」という傷はスプレーでの修復が難しいため、プロに相談しましょう。

その状態でスプレーしてしまうと、元の塗装との色の違いがくっきり出て余計に目立ってしまったり、その部分からサビが発生して周囲に広がってしまったりすることがあります。

そうなると結局、修理代が高くつくことになってしまうため、迷ったらまずはプロに相談することをお勧めします。

大きなへこみ・歪みのある傷もセルフ補修は難しい

傷そのものはクリア層にとどまっている浅いものであっても、大きなへこみや歪みを伴う傷は板金塗装が必要です。

場合によってはパーツ交換しなければならないこともあるため、基本的にセルフ補修はできません。

目立つ場所の大きな傷もプロに任せるべき

傷の場所も、セルフで補修するかプロに依頼するかの判断基準のひとつになります。

いたずらなどでボンネットの真ん中やボディのサイド部分など、目立つ部分に大きくついた傷は仕上がりの美しさが重要です。

セルフで補修した場合、微妙なカラーの違いが出てしまうなど、美観を損ねる可能性もあります。

目立つ部分だからこそ、プロに手に委ねるべきといえるでしょう。

 

スプレーの使用が向いている車の傷とは

現在はインターネットの普及により情報収集が簡単にできるため、車の傷のセルフ補修にチャレンジする方も多く、カーショップにはスプレーのほかにも、さまざまな傷消し材や塗料などがあります。

セルフ補修する場合には、車の傷の種類にあった適切な傷消し材を選ぶことが大切。

スプレーは一度に塗装できる面積が広いため、すり傷など比較的広範囲の傷に適しています。

逆に、点のような小さな傷や引っかき傷には向いていません。

傷タイプ別おすすめの傷消し剤

では、スプレーが効果的なすり傷以外の傷にはどのような傷消し材が適しているのでしょうか。

洗車傷のような細かい傷

洗車時に付いてしまう細かな傷は、ワックスや傷消しクロスがおすすめです。

ワックスは傷部分を油脂成分で埋めて補修し、つやを与えることで傷が気にならない状態にしてくれます。

研磨剤が含まれているワックスもありますが、洗車傷程度のごく浅いものであれば研磨剤なしのものが塗装を傷める心配がない分、使いやすいでしょう。

傷消しクロスはクロスに研磨剤やワックス成分が含まれているもので、傷のある部分を傷消しクロスで拭くだけで傷が目立たなくなる優れものです。

手軽に使用できるため、セルフ補修は初めて、という方でも失敗の心配がほぼありません。

浅い線傷

引っかき傷など線状の傷は、コンパウンドの使用がおすすめです。コンパウンドは傷とその周囲を研磨して傷を目立たなくする傷消し材です。

コンパウンドでセルフ補修する際には、粒子の大きさが異なるコンパウンドを数種類用意し、粗目のものからだんだんと粒子の細かいものに変えていくときれいに仕上がります。

＜コンパウンドの選び方＞

なお、最初に使用するコンパウンドの粒子の粗さは傷の大きさによって変わり、傷が深いほど粗目のコンパウンドを選ぶ必要があります。

逆に浅い傷であまり粒子の粗いものを使用すると、必要以上に塗装を傷めてしまうことにつながるため、傷に適したコンパウンドを選ぶことが大切です。

点のような小さな傷

走行中の小石の跳ね上げなどでつく点状の小さな傷は、ピンポイントで補修できるタッチペンが最適でしょう。

マニュキュアのような感覚で使用できる筆タイプの塗料で、自動車メーカーの純正タッチペンもあります。

へこみを伴う傷

へこみがある傷の場合は、コンパウンドやスプレーなど傷のタイプや大きさに合わせた傷消し材に加えて、パテを使用して傷を埋める必要があります。

パテにも板金パテと呼ばれる厚付けのものや薄付けパテ、バンパー用のパテなどさまざまな種類があります。

そのため、傷の大きさや深さ、また傷ができている部分によって適したものを選びましょう。

パテを使用した修理は難しいため、慣れていないと失敗のリスクが高く、かえって傷が目立つ状態になったり、すぐに劣化したりするケースもあるようです。

 

スプレーを利用する際の注意点

スプレーだけの傷隠しは応急処置に過ぎない

下処理をせず、スプレーだけで傷を目立たなくすることも不可能ではありません。しかし、その場合、傷が補修された訳ではありませんのでご注意ください。

特に深い傷の場合、スプレーした部分がサビてしまうと、塗装の内側で少しずつ侵食して広がってしまうことがあります。そのため、スプレーで傷を“隠す”といったことはおすすめできません。

スプレーは傷を修復するものではなく、あくまで目立たなくさせるための「応急処置」ということを覚えておきましょう。

ボディカラーと同じ色を選ぶ

また、車の色はメーカーや車種などによって微妙に異なり、例え同じ「青」だとしてもいくつもの種類があります。

スプレーを購入する際、色のことを正しく理解しておかないと、せっかく上手に塗れても色ムラになったり、余計に目立ってしまったりします。

カラーナンバーについて

車のカラーナンバーは、型式表示プレート（コーションプレート）に記載されています。

型式表示プレートの設置場所はメーカーによって異なりますが、エンジンルーム内や運転席・助手席いずれかのセンターピラーなどが一般的です。不明な際はメーカーに問い合わせてみましょう。

型式表示プレートでカラーナンバーを確認し、記載されているナンバーと同じ色のスプレーを使用するようにしてください。

カラーナンバーが同じでも仕上がりが異なることもある

ただし、車は紫外線や経年劣化によってボディカラーが変化しているケースも少なくありません。

同じカラーナンバーであっても、必ずしも愛車と同じ色に仕上がるわけではなく微妙にニュアンスが異なることもあります。

その点、プロであればそういった微妙なカラーの差も調節してくれるため、より安心です。

スプレーの動かし方・速度

スプレーは一定の距離から、同じ速さで動かすようにしましょう。距離や速さが異なると、その差がそのままムラになります。

しっかりと乾燥させる

スプレーは一度の吹き付けで仕上げるのではなく、何度かに分けて塗り重ねるのが美しい仕上がりにするポイントのひとつといえます。

重ね塗りする際には、前の塗料を完全に乾かさないと色ムラの原因になります。また塗料に限らず、下地や仕上げのクリアスプレーなども同様です。

原則として、前に塗布したものが乾いてから重ねるようにしましょう。

仕上がりにこだわるならプロに任せるべき

スプレーで車の傷を直すには、意外と気をつけなければならないポイントが多いこと、お分かりいただけたのではないでしょうか？

傷の修復にもマスキングや補修・研磨など工程が複数あり、それらを一つひとつ丁寧にこなしていったとしても、プロのようなキレイな仕上がりにならないことも少なくありません。

キレイに仕上げるには、やはり、プロの確かな技術が欠かせなくなってくるのです。

 

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一台一台、微妙に異なる色もしっかり確認してその場で調色するため、色ムラが生じたり色合いが変わってしまったりといった心配もご不要です。

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