店舗リポート

カスタムペイントはあえて前面に出さず、半径5kmを商圏に年中無休・夜9時まで営業で、地域に奉仕

カーコンビニ倶楽部 ボディーショップテル
所在地 埼玉県川越市下赤坂52-3
オープン 2002年6月
スタッフ 9名(FA=1名、TS=8名)

北田輝久 代表取締役

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歴史を重んじる街で、中古車のカスタムからスタート。

埼玉県内で4番目に多い、人口33万人以上が暮らす川越市。江戸時代に川越藩の城下町として栄え、当時をしのばせる寺院や蔵造りの街並みなどが今なお残り、「小江戸(こえど)」としても有名。年間約600万人もの観光客が時のロマンに思いを馳せて市内を訪れています。

歴史を大切にする川越市で、15年以上も前からカーライフを支えてきたのが、ボディーショップテルです。代表取締役の北田輝久さんはバイク少年から車に興味を持ち、そのうち自分でマシンをいじる楽しみに目覚め、技術に磨きをかけていった、まさに車好きの中の車好き。米国ロサンゼルスが発祥のカスタムカーのイベント“LOWRIDER(ローライダー)”JAPAN TOUR(日本大会)で何度も受賞するなど、卓越した技術と優れたセンスで一目置かれる存在です。

数年前まで敷地内にはアメ車のカスタムカーやレストアの車などがずらりと並び、大勢のアメ車好きの人などが集う、カスタム&ドレスアップに比重を置いた店舗でした。

飛躍のきっかけは、カーコンビニ倶楽部加盟。

転機は2002年のこと。「マニアックな店に見えすぎたのか、地元の一般の人がほとんど来なくなりまして。それに、うちが専門店に思われすぎたのか、ちょっとしたカスタム好きの人でも、自分くらいのこだわりレベルなら店員に相手にしてもらえないのではないか、といった心配をされ、新規のお客様が多くなかったのです。また、常連のお客様もうちでお茶を飲んで2時間くらいおしゃべりして帰られるというような、なかなか売上げにつながらない状態で。居心地がいいのはいいことなのでしょうが、ほぼ常連さんしかいらっしゃらない感じになってしまって……(笑)」
常連客は居心地がよくても、新規のお客様は入りにくい。これは、顔なじみ客がほとんどのため、初めてのお客様が入りにくいバーに似ているかもしれません。

売上げがなかなか伸びず、悩みに悩んだ北田さんはある決意をします。それが、カーコンビニ倶楽部への加盟でした。
「すでにカーコンビニ倶楽部は知名度も高く、トップブランドでしたからね。しかし、社員にその話をすると最初は全員が大ブーイングで、ちょっとまいりました」と苦笑い。スタッフの方々はみんな、カスタムショップとしてのこだわりを強く持っているため、加盟することによって、あまり個性のない店舗になってしまうのではないかと不安を抱いたのです。無理もありません。アメ車のカスタムが大好きで、ボディーショップテルに通ううちスタッフになった、という社員がほとんどだったのですから。

即日仕上げ、代車を常備……すべてはお客様の満足のため。

「正直、カーコンビニ倶楽部に加盟して本当によかったと思います。現在は地域のお客様がほとんど。ドアやバンパーをこすったとか車検とか、カーナビやETCの取付とか、地元のお客様がさまざまな理由で気軽にご来店されます。しかも、ありがたいことに昔からのカスタム好きのお客様も、今もご利用くださっていて」
北田さんの先見の明でしょう。加盟に反対した社員も結局は納得し、お客様の満足のため、すべての業務に取り組んでいます。多くのお客様にお喜びいただくことが、スタッフみんなのモチベーションにつながっているのです。

現在は自動車分解整備事業の認証を受け、保険会社の指定工場に選ばれ、ビジネスの安定に結びついています。また、件数としては仕事全体の1割ほどのカスタムやドレスアップも、売上げに大きく貢献。鈑金・修理をはじめとするカーコンビニ倶楽部としての事業と、カスタム&ドレスアップ事業が、両輪として同社を牽引しているのです。

他にもボディーショップテルにはこだわりがあります。たとえば、代車を常時10台以上用意し、絶対に切らさないこと。納期は絶対に守ること。ちょっとしたキズ・へこみのお客様でも、洗車とルームクリーニング、撥水コート加工を無料でサービスすること。特に、クリーニングは女性がきめ細やかに行い、サービスでここまでやってくれるのかと驚かれるお客様もいます。

さらに、こんな営業努力も。「お盆も正月も年中無休でやっています。会社帰りのお客様も多く、午後8時までだったら来られないところだけど、午後9時までの営業で助かったよ、とお客様に言われることもあり、うちとしてもお役に立ててうれしい限りです」
自店のことだけでなく、埼玉県自動車車体整備協同組合の役員も務めるなど、業界全体のためにも尽力されている北田さんの人間性も、ボディーショップテルが愛される理由のひとつでしょう。

取材:2009年6月24日